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居酒屋という場に馴染むことができない。自分だけが染色された細胞みたいに浮き立っている。異物感。拍動している淡いピンク色の歯茎みたいな部分が迫り出している人間を見ると、自分は気まずい感じになってしまう。面白くなさとかを受け流すことができない。それは積もっていく。表面張力が働いて背中が曲がる。腹が空かない。店員の名札の右下に猫が好きと書いてある。気の毒だと思った。副流煙、吸いたいですか?空間の正気さの濃度勾配が急峻で、その状況になんとか耐えようとすると、いつもと違う部分で目から入ってきた情報とか耳から入ってきた情報を処理しなきゃいけないから、へとへとになってしまう。一緒に食事している人達の楽しく食事をする妨げになりたくない。できたら自分も楽しみたい。でも集中力とかユーモアさとかにまで体力を割けないから、食事やコミュニケーションを楽しむところまで辿りつけない。寂しい。こんな人口密度で。